沖縄修学旅行おぅらいデジタル・アーカイブ
沖縄の伝統文化

人類の無形文化遺産−組踊− 宮里祐光氏


人類の無形文化遺産−組踊−
宮里祐光氏

14.二童敵討−あらすじ

少しあらすじを申しますと、実は組踊の場合には幕が下りるということはなくて、情景が変わってきます。これは三線の音で情景が変わるシーンが分かってまいります。人の歩みが三線をとおして、そして同じ舞台の中で場面が変わってまいります。
あえて第1幕、第2幕、第3幕という言葉を使わせていただければ、幕そのものはないのですけれども場面的には、ここに簡単に書かれているものよりも少し詳しくお話しさせていただくと、琉球各地に群雄割拠していた時代ですね。いわゆる古琉球の時代といいますか。首里城の第一尚氏王統がもちろん支配していた時代で、そのときは尚泰久の時代でもあるわけですが、勝連城の阿麻和利が天下取りの野望に燃えておりました。
しかし、首里を攻略するには、まずその前衛基地であるところの中城城を滅ぼすことが先であると考えたのですね。それで中城城主の護佐丸が首里攻略の準備をしているという嘘偽りを告げて、まんまと首里をだまして討ち取ることに成功します。
時間の関係で、ここに書かれているものを読ませていただきましょう。嘘偽りを言って攻め滅ぼさせたということですね。
さらに、近いうちに首里王府も滅ぼそうと企んでいるわけです。天下をほしいままにしている威厳を、阿麻和利の「七目付(ななみじち)」という荒事で表現します。荒事というのは、実は歌舞伎から来ているのですが、荒っぽいしぐさ、たけだけしいしぐさですね。これがまず見ものだろうと思います。
阿麻和利の役をする人は、この「七目付」を非常に神経を使って表現して、これができるかどうかで阿麻和利の成功・不成功も決まるというように考えられている場面です。
阿麻和利は供を呼び出して、野遊びの準備を言いつけます。鶴松と亀千代、いわゆる二童ですね。二童は成長して、父の敵のあまおへを討つ機会を狙っているわけです。
ある年、阿麻和利が野遊びをすると聞いた二童は、父親の仇を討つ機会が訪れたと意を決するわけです。
二童は母親に敵を討つことの許しを得ます。そこで二童は、父親護佐丸の形見の守り刀を母親から譲り受け、母子は別れる。ここは切々と歌三線で表現していきますので、じっくりと歌三線を聴いていただければと思っております。
最後の場面になりますけれども、阿麻和利が野遊びのために、供3人を連れて登場してまいります。
阿麻和利一行が酒盛りをしているところに、鶴松と亀千代が守り刀を懐に忍ばせて、踊り子に身をやつして阿麻和利に近づいていきます。
二童は阿麻和利に所望されて踊ったり、酒のお酌をして阿麻和利を酔わせますが、阿麻和利は二童に褒美として、鶴松に団扇と太刀、亀千代には着物をあげます。二童は丸腰になった阿麻和利のすきをうかがい、首尾よく父親護佐丸の仇を討つというのが筋でございます。
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【参考資料】

「沖縄の世界遺産」

「沖縄の伝統文化」