[9] さるぼぼ
さるぼぼは、古くから飛騨に伝わる人形。飛騨のことばで赤ん坊を「ぼぼ」ということから、猿の赤ん坊を意味している。赤色は、古くから病や悪霊除けの効力がある色とされた。
もともと、奈良時代に遣唐使が持ち帰った人形から始まり、江戸時代になると全国的に広まったといわれている。この人形は、庚申信仰の対象、また、健康や安産を願う這子(ほうこ)人形の風習の2種類に分かれ浸透していったが、飛騨のさるぼぼは、這子人形に由来するとされる。その後、全国的に風習が廃れつつあったが、飛騨地方で、工芸品として再び作られるようになった。