沖縄修学旅行おぅらいデジタル・アーカイブ
沖縄の世界遺産

首里城の復元と沖縄の文化
高良倉吉氏

4.関連プロジェクト


首里城の復元と沖縄の文化
高良倉吉氏

4.関連プロジェクト
(4)新しいプロジェクト

それから、これからやろうといま検討していますけれども、例えばドイツのベルリンの琉球コレクションには芭蕉布があります。それから、麻で織った布があります。見ますと、やはり少し傷んでいるものがある。しかしドイツには、それを修理する技術がない。
いまわれわれが考えているのは、沖縄から専門家を沖縄の費用で派遣して、向こうが持っているものを沖縄の費用で修理してあげる。あるいは、お預かりして修理してお返しするという作業を、沖縄の費用で、首里城基金を使ってやろうと思っています。
なぜ人の財産をやるのだと言う人がいるかもしれませんが、そうではない。あれはドイツの博物館のお宝であるけれども、われわれ沖縄県民のお宝でもある。みんなで力を合わせて、それをちゃんと修理して伝えていこうというような費用に充てる。そういうプロジェクトもこれから始めようと、いろいろな準備をしております。
そのためには、それぞれの琉球コレクションを持っている文化機関と仲よしになること、信頼関係を構築することですね。首里城基金を使って、例えばドイツの博物館の学芸員であるとか、ボストン美術館の人であるとか、そういった方々を沖縄にお招きして、沖縄の博物館にあるものを見てもらう。首里城を見てもらう。沖縄の自然や海を見てもらう。
 
ただ物だけ見るのではない。自分たちが持っているコレクションのバックグラウンドは何かということを、そこに琉球とか沖縄がどのように絡んでいるのかという問題を、やはりここに来て見てほしい。そして、できれば沖縄ファンになってほしい。そして私たちが言う無理難題を、いいよと聞いてくれるような関係を構築していこうということを思っております。
最後に申し上げたいことは、首里城復元プロジェクトは、ただ単にお城の復元だったのではないということでございます。そのことによって、首里城を中心とする歴史や文化というものに絡むさまざまな課題を確認して、そのすべてはもちろん解決できませんけれども、そのいくつかの解決の糸口を見つけていくようなプロジェクトとして、最初から問題意識を持って設定されたものだったということであります。
いま難しい復元の作業にかかっていまして、資料があまりなくて。首里城の内宮の建物ですが、とにかく資料がなく、あまりアイデアもないので、夢枕に神様が降りてこないかと思っているのですが。そのように、しばしば弱気になったりするのですけれども、それでも時代考証をして、できるだけ復元を追加していきたいと思います。
それから、国王の肖像画の復元をいまやっています。東京の国立文化財研究所(独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所)と東京藝術大学と一緒になって、いまは白黒写真でしか残っていない歴代の琉球国王の、極彩色の絵を復元する作業で、たぶん2年後には1枚が完成すると思いますが、その作業をいまやっていたりします。ですから、まだまだエンドレスで首里城復元プロジェクトが進行中であるということであります。
あと10分ほど時間が余っておりますけれども、もし私の話を聞いて、ここが分かりづらかったとか、今日の話題に出なかったところで、これはどうなのというご質問がありましたら、私の理解している範囲内でお答えしたいと思いまして、取りあえず私のおしゃべりはこれで終わります。
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【参考資料】

「沖縄の世界遺産」

※資料随時追加予定