朗読ビデオ:MPG5.53MB 邦訳  注釈
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  THE TYGER

TYGER! Tyger! burning bright
In the forests of the night,
What immortal hand or eye
Could frame thy fearful symmetry?

In what distant deeps or skies
Burnt the fire of thine eyes?
On what wings dare he aspire?
What the hand dare sieze the fire?

And what shoulder, & what art,
Could twist the sinews of thy heart?
And when thy heart began to beat,
What dread hand? & what dread feet?

What the hammer? What the chain?
In what furnace was thy brain?
What the anvil? what dread grasp
Dare its deadly terrors clasp?

When the stars threw down their spears,
And water'd heaven with thier tears,
Did he smile his work to see?
Did he who made the Lamb make thee?

Tyger! Tyger! burning bright
In the forests of the night,
What immortal hand or eye,
Dare frame thy fearful symmetry?




  

虎よ、虎よ、あかあかと
夜の森に燃えさかる。
いかなる不滅の手または眼が
おまえの恐ろしい均整を造り得たか。

いかなる遠き海の底また空の果てに
お前の眼の火が燃えていたか。
いかなる翼で巨人は翔け
いかなる手でその火をつかんだか。

いかなる腕が、また技が
おまえの心筋を綯い得たか。
おまえの心臓が打ち始めたとき、
いかなる凄き手が、いかなる凄き足が。

いかなる鎚が、いかなる鉄鎖が、
いかなる溶鉱炉でおまえの脳髄が、
いかなる鉄床(かなとこ)が、いかなる凄き握力が
脳髄のけおそろしき想念を鍛えたか。

星ぼしがその槍を投げ捨て
その涙で天をうるおしたとき
造り主はおのが所産を見て微笑んだか。
仔羊を造ったものがおまえを造ったのか。

虎よ、虎よ、あかあかと
夜の森に燃えさかる。
いかなる不滅の手または眼が
よくも恐ろしい均整を造り得たものだ。



<注釈>

○ "The Garden of love "と同じく、人間精神の内面をのぞきこんだ詩だが、前者よりずっと
深い所を見ている。「愛の花園」のさらに奥は「夜の森」のような暗闇で、そこに人間劫初の
エネルギーが精悍な「虎」の姿をかりて焔えんと燃えさかっている。その不気味なまでに力強く、
激しいエネルギーは神の賜物か悪魔の贈り物か。人間への祝福か、呪いか。ここに作者は、
彼自身にも答えられない宇宙の謎を提起するのである。→拙稿「ブレイクの『虎』」(あぽろん社
『季刊英文学』vol.Ⅳ.No.3,1967)

>>以上参照:『ロマン派詩選』上島建吉解説注釈(研究社)


(→詩文についての具体的な説明はこちら)
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