―デジタル・アーキビストの学習目標案として、次のように学習します。―
文化に関する基礎
をもとに、各文化分野で、何をどのようにデジタル・アーカイブ化するか決め、
デジタル・アーカイブ開発
を進めるのに必要な、
情報処理の基礎 文化財・活動の記録 デジタル・アーカイブの構成
について、学習します。
文化情報の管理・流通
の基礎として、知的財産権等の問題を解決し、データベース化する必要があります。このとき情報は、人々が共通して利用できなければ役立ちません。そこで、「データベース」の学習と併せ、キーワード等の案内情報の共通化について学習します。
文化情報の利用
このように集められた情報は、文化情報として多くの人達に役立てる必要があります。
このために、
プレゼンテーション デジタル・アーカイブの利用
について学びます。
さらに、それを利用した新しい「文化創造・活動」へと発展させる時代になってきました。
これらのデジタル・アーキビストは、理論と併せ、実際に活動できなければ役立ちません。そこで、
デジタル・アーキビスト実習 (実践)
などの実習が必要とされます。次に、これらの実践を進める例を示します。
1.文化に関する基礎
- [文化論]・・・選択
文化に関する基礎について理解し、デジタル・アーカイブの文化的な位置付けができる。
- [文化活動]・・・選択
各文化分野のデジタル・アーカイブスの基礎として、その文化資料活動について理解し、文化情報収集・管理・活用等の活動ができる。
(注)専門とする文化分野の情報管理(メタデータ、とくに資料等の(分類)カテゴリー分け、索引語の設定など)ができる。
- [文化資料の管理・活用]・・・選択
文化資料の収集・情報化・管理とその活用を理解し、デジタル・アーカイブ化とその利用ができる。
2.デジタル・アーカイブ開発
- [情報処理]
デジタル・アーカイブの制作・利用に必要な情報処理ができる。
①データ処理の基本構成・機能を理解し、情報の流れが説明できる。
②文化情報システムの構成ができる。
③文化情報の管理システムを理解し、その構成ができる。(データベースの基礎含む)
④文化情報システムの利用ができる。
- [マルチメディア]
文化財・文化活動の映像・図形・文字・音声を記録(撮影)し、文化情報システムに入力・管理・流通・提示ができる。
①映像・図形・文字・音声等のデータ処理ファイルの構成を理解し、各機能が説明できる。
②映像・音声等のデータの量子化と圧縮・記録・提示について理解し、各機能の利用ができる。
③映像(撮影)・スキャナー・音声記録・図形処理等の記録から入力処理・ファイル管理ができる。(撮影方法等含む)
④各種メディアの流通・加工処理の方法、提示ができる。
- [デジタル・アーカイブ]
デジタル・アーカイブの構成方法と各アーカイブの構成の特徴を理解し、開発の手順・方法および流通・活用が実施できる。
①デジタル・アーカイブの構成方法について理解し、各種アーカイブの特徴が説明できる。
②デジタル・アーカイブの開発(作成)の手順・方法が説明でき、現物に適した開発を計画することができる。
③デジタル・アーカイブの作成計画・調査・記録・実施・デザイン・作成ができる。
④デジタル・アーカイブをバーチャル・ミュージアムとして構築することができる。
3.文化情報の管理・流通
- [コンテンツ収集・管理]
デジタル・コンテンツの収集・制作や管理にあたって、必要な知的財産権、プライバシー等を理解し、デジタル・アーカイブの制作上のこれらの課題に対処できる。
①著作権等知的財産権、プライバシー等について理解し、デジタル・アーカイブの制作計画にあたって対処できる。
②情報の収集にあたって、知的財産権・プライバシー等の許認可の対処ができる。
③情報の管理・流通にあたって、知的財産権・プライバシー等の許認可の対処ができる。
④情報の加工処理にあたって、知的財産権・プライバシー等の許認可の対処ができる。
- [データベースと情報検索]
データベースの機能や構築の方法、通信ネットワークを理解し、デジタル・アーカイブに必要な、情報検索システム、情報管理と流通、通信ネットワークセキュリティーについて対処できる。
①データベースの機能と構築の方法について理解し、各デジタル・アーカイブに適するデータベースの構築ができる。
②情報検索システムの基本的な機能を理解し、横断的検索を始め、デジタル・アーカイブズの利用に対応できる情報検索ができる。
③情報管理と流通、セキュリティーについての基本的な機能を理解し、実践活動に対処できる。
④デジタル・アーキビストとして、情報管理・検索の支援活動ができる。
- [情報管理項目と記録]
デジタル・アーキビストとして、情報の管理項目が設定でき、そこで使われるメタデータ(カテゴリー・シソーラス・索引語など)を表現・作成・入力することができる。
①多様な記録項目の構成とその具体的な事例について理解し、各分野の基準に対応したメタデータの入力ができる。
②記録分類(カテゴリー)・シソーラス、の基本構成について理解し、各種資料に対し、適した用語等が選択できる。
③著作権・資料情報・管理情報など、メタデータ(情報)について各分野のスタンダード(基準的)な構成を理解し、適用できる。
④デジタル・アーカイブに用いた説明、キーワードの選択・設定・情報利用などが、各文化分野の視点から正しく記述できる。
4.文化情報の利用
デジタル・アーカイブを用いて、新しい文化創造や文化活動で利用でき、制作・活動等の支援ができる。
- [プレゼンテーション](デジタル・クリエータ)
デジタル・アーカイブを用いて、知的財産権、プライバシー等各種のプレゼンテーションができる。
①デジタル・アーカイブを用いてデジタル・クリエータとしての活動ができる。
②文化情報メディアを各種の文化活動で提示できる。
③デジタル・アーカイブを用いて新しい文化情報の創造や作品・製品としての開発の支援ができる。
④デジタル・アーカイブの活用にあたって、著作権・知的財産権・プライバシーなどの対処ができる。
- [利用方法](デジタル・アーカイブ)・・・選択
デジタル・アーカイブを文化・芸術・産業・教育・生活などで利用でき、一般の人々の利用の支援ができる。
<各文化分野で設定>
- [情報利用システム]・・・選択
文化創造活動のためのデジタル・アーカイブの利用として情報検索、文化創造活動のための処理とそれにともなう著作権等、提示システムの設置などを各文化分野で支援できる。
<各文化分野で設定>
5.デジタル・アーキビスト実習
デジタル・アーキビストは、実際に制作活動ができる人材の育成が必要である。
このため、知的財産権・索引語も含め文化に関する基礎知識の理解をもとに、デジタル・アーカイブの作成のための文化資料活動の撮影・記録・データベースへの登録・管理、流通・情報検索ができるように、十分な実践経験・学習が必要である。これらの実習は、一連の授業活動の中で配置してもよい。(実習に特別に科目を設けなくてもよい。)
- [撮影記録処理](30時間)実習
デジタル・アーカイブ化に必要な資料・文化活動でのフィルム撮影からハイビジョン、立体、スキャナーでの各種メディアの記録と入力処理ができる。
①古文書等のフィルム撮影、現像、スキャナー、デジタル化、データベース記録実習
②映像(ハイビジョン、デジカメ)の撮影・記録、その他の現物、音声、文書をデジタル化し、データベースに記録実習
③立体(360°含む)撮影、アーカイブに必要なその他の撮影・記録と情報化ができる
④各種文化資料活動(演劇、地域の文化活動、文化財等)の記録実習
- [データベース登録・検索](30時間)実習
データベースへの映像、図形、音声などの記録、情報管理と情報検索処理ができる。また、情報検索したデータを用いて、デジタル・クリエータとしての活動ができる。
①映像、音声、図形、文字、楽譜、電子音など文化財・活動で必要な情報の記録実習
②文化財・活動情報の入力・記録(データベース化)実習
③文化情報検索の基礎操作実習と新しい情報検索システムの利用実習
④情報検索とデジタル・クリエータ活動の実習
- [メタデータ利用](30時間)実習
文化情報に関するメタデータの記述、とくにカテゴリー、シソーラスなどの索引語の共通化、メタデータの構成とその内容記述について情報活用支援として必要な学習項目の実習
①メタデータの記録構成(項目)の実習(各分野のメタデータの構成とそれをもとに各分野で必要とされる記述方法の学習)
②実例に対するカテゴリー、キーワードなど索引語(索引語の選定作業)づけの実習
③知的財産権、プライバシー、情報公開等の対処についての実習(調査、各種許認可願いの作成、権利者等との対応方法など)
④登録情報の検索、抽出情報の適性についての実習
(後藤案) |