V古代の人々のくらし


 古代の人々は、一辺3〜6mくらいの方形の竪穴住居に住んでいました。縄文時代や弥生時代の住居は中央に炉を作ることが多かったのですが、5世紀頃から住居内の壁際にカマドを設けるようになり、煮炊きが容易にできるようになりました。煮炊き用の器としては、赤褐色の素焼きの土器である土師器が使われました。当センターが調査した針田遺跡・佐口遺跡・野笹遺跡・牧野小山遺跡・尾崎遺跡(いづれも美濃加茂市)の集落では、主に平底の長胴甕を使用しています。
 一方、食器や貯蔵具には、主として灰色の堅い無釉の焼き物である須恵器が使われ、平安時代になると釉薬を施した灰釉陶器も使われました。このほか、塩を作るのに使った製塩土器、フイゴの羽口、刀子やヤリガンナなどの金属器も出土しています。

「いにしえの美濃と飛騨」図録(財団法人 岐阜県文化財保護センター)より抜粋