長滝白山神社「延年の舞」

 「長滝の延年の舞」は鎌倉から室町時代にかけて、寺院社会において盛んに行われましたが、猿楽の能が発展する頃から延年の舞は徐々に衰え、わずか数ヶ所が残るのみとなりました。その中で古い延年の形をまとまって今に伝えるのは「長滝の延年」と岩手県平泉町の「毛越寺(もうつうじ)」(共に国重要無形文化財)の二つだけです。
 一方、2003年にユネスコ総会で採択された口承無形文化遺産保護条約は30カ国の批准を経て、国際条約として発効しています。2005年9月5日・6日「文化の多様性を支える新技術ーデジタル技術と文化財ー」をテーマに、「愛知万博記念ユネスコ国際ワークショップ」が東京上野国立西洋美術館講堂で行われました。その中で、文化遺産デジタル・アーカイブ化をとおした新しい発展モデルとして「長滝延年の舞」が井上透氏(国立科学博物館情報課長)によりハイビジョンで紹介され、地域レベルでのこの面の交流が促進されることを期待されています。ユネスコでは現在49の無形文化財が「無形遺産の傑作」であると宣言されており、いくつかは既に「高精度デジタル映像」によりアーカイブ化がされています。


「長滝の延年」次第 ※もっと見る場合は、画像をクリックしてください
神事
 
酌取り
ふたりずつの上酌(かみじゃく)、下酌(しもじゃく)が行う盃事で白山中宮長滝寺の修生会の宴会の名残といわれている。
とうべん
太鼓打ち一人と笛吹四人が席に着き始まる。
当弁は梅と竹の二人である。烏帽子にそれぞれ梅と竹の形をしたかざしをつけた冠を額につけ細いあごひもで結び、狩衣を着て、白足袋を履いている。
露払い
猩々の面をかぶり、緋色の陣羽織を着て、淡紅色のたつけと黒足袋を履いている。
乱拍子
稚児二人、金色の烏帽子に緑色の狩衣、紫の袴に白足袋を履いている。
田歌(おた)
当弁が控えの者から当弁竿を受け取り捧げもって向かい合って立つ。裃姿のふし役が歌の本をもって神殿奥に本殿を背にして立っている。
花笠ねり歌
当弁が天井に吊るした花笠に向かい、歌は地衆(笛方)によって歌われる。
とうべんねり歌
ねり歌にあわせて舞う。
しろすり
白い鉢巻きに茜染の襦袢を着て大柄な絣のたつけにたすきをかけ、黒足袋を履いている。作り物の大型の木鍬をかつぎ、木製の鎌を腰に差して登場する。
大衆舞(はっさい)
黒の烏帽子をかぶり、如木の上に平絹をかぶり白足袋を履いた舞人が扇子をもって登場する。