☆基礎知識☆

☆江馬細香☆  江馬細香と頼山陽―三従すべて欠く一生涯― 作・こばやし ひろし

☆江馬細香☆

江馬細香

 安政四年九月。安政の大獄。  次々と思想家が役人に召し取られていくなか、尊皇攘夷を訴えた指導者・梁川星巌は三日前にコレラで死んでしまっていた。困った役人は星巌のかわりに妻・紅蘭を捕らえたのだった。  紅蘭は星巌から結婚を申し込まれたといき、迷っていた。うまくやっていけるかどうか不安だったのだ。そんな紅蘭に対して、細香は"止められるものではないでしょう""自分で決めたことに後悔はない"ときっぱりといいきったのであった。しかし、そういう細香は山陽と結婚しなかった。そして、それもまた自分で決めたことだという。  山陽と細香の結婚話が持ち上がった頃、父・蘭斉は大反対をした。普段は山陽に奪うことは、たとえ、彼が欲しているのが自分だと知ってもできなかった。才能ある男だといいながら、いざ、自分の娘の夫となると気が引けたのだった。しかし、それが原因ではなかった。山陽が雇った端女・梨影から山陽を奪うことがどうしてもできなかったのだ。たとえ、山陽が自分を愛しているといっても・・・

劇団はぐるまの世界