文部科学省委託事業「大学教育改革支援プログラム」採択 「実践力のある上級デジタルアーキビスト」

平成20年度実践活動の報告

 

地域の実践活動とカリキュラム

 上級デジタル・アーキビストの教育は、基本的に「地域文化の理解」と「情報技術の実践力」およびそれを実現するために必要となる「法と倫理」の理論的な学習をもとに、具体的なこれらの問題を現実の文化財・文化活動などのデジタル・アーカイブ化の中で、可能にする実践力をいかに育成するかにある。
 このため、上級デジタル・アーキビスト育成のカリキュラムに対応させ、それぞれの専門分野の指導教員が分担し、実際に地域の文化財・文化活動を教材として、文化の理解、GPSや多方向撮影などの撮影・記録、それらに関係する著作権・所有権・プライバシー、さらに、地域の人々の慣習・利益を配慮したデジタル・アーカイブの企画、設計、実施、評価の実践能力を高める。
 このためには、各授業担当者が、各地域の実践に参加し、実践活動の中で、説明、質問などに対応し、指導する。

 

地域の専門家(文化)による説明・・・・・・地域文化の理解

 地域文化の理解では、その地域の専門家に講演や説明を依頼し、地域の歴史、文化、芸能、慣習、教育、産業などについて講義を受け、各地域の文化を理解する。その理解に基づいて、デジタル・アーカイブ化についての実際を学習する。(基礎については大学院の伝統文化特講などの授業で学習している)

 

著作権、プライバシーなどの実際

 著作権、プライバシーなどは、現実の事例に対し、どのように解決するかが大きな教育課題である。このため、地域の実習では、担当教員がその地域の現状を配慮した講義および実際面での指導をし、確実な実践力を育成する。
 とくに、「技」など他への流出を危惧されることもあり、これらに対する配慮など、倫理面を重視した記録も必要となる。

 

情報活用技術の実際・・・デジタル・アーキビストとしての撮影、記録の実践力

 撮影・記録については、現実に携わるとき、自力で問題点を解決し、デジタル・アーカイブとして、必要な情報を撮影、記録する実践力の育成が重要である。とくに、多方向、全方位、位置情報(GPS)など、デジタル・アーカイブとして、必要な各条件に対応できる撮影、記録について、各文化財、文化活動と直面し、その中で指導者が指示し、実践力を高める必要がある。

 

○ 実践力の育成に対応した実習の履修プロセス

実践力の育成に対応した実習の履修プロセス


○ カリキュラム、テキスト・教材の構成

 上級デジタル・アーキビストの育成カリキュラムは、「文化の理解」「情報活用・技術」「法と倫理」の3領域を中心に図に示すような授業科目テキスト・教材(通学・通信制課程共通)で実施し、その授業の中で@の実践実習を位置付け、指導する。

カリキュラム、テキスト・教材の構成

 

  学習領域と科目
現地実践演習
文化の基礎理解(地域文化の理解)
文化学特講
言語文化特講
伝統文化特講T・U・V
【伝統文化特講】
シンポジウム「世界遺産などの地域の伝統文化をいかに伝えるか」(2008年9月6日)
・国立科学博物館長佐々木正峰氏(元文化庁長官)の講演及び世界遺産白川郷和田家毛越寺、長瀧白山神社延年の舞等、実例について情報提供と、継承について検討した。
   
デジタル・アーカイブ基礎(撮影・記録の方法、著作権・プライバシー等)
文化メディア特講T・U
文化メディア演習
デジタル・アーカイブ特講T・U
デジタル・アーカイブ演習
【文化メディア演習、デジタル・アーカイブ演習】
世界遺産五箇山の撮影実習(2008年6月2日〜3日)
長良川の様子の撮影記録(2008年6月11日)
世界遺産“白川郷・五箇山”、白山文化、高山の歴史の記録
・地域の歴史・伝統文化を学ぶとともに、著作権、プライバシー、撮影方法(360全方位、GPS位置情報等)、データベース化等の実践を行った。
   
文化情報の管理・検索(データベース化)
文化情報管理特講T・U
文化情報検索特講
【文化情報管理特講】
・現地実践で収集したGPS位置情報等を記録するデータベースの開発および入力処理の演習を行った。
   
デジタル・アーカイブの研究開発実践
アーカイブ研究T・U
文化教材開発特講
文化教材開発研究
教育情報特講
教育情報研究

【アーカイブ研究T・U】
 長良川花火の撮影、記録(2008年7月26日〜27日、8月2日〜3日)
沖縄伝統文化“エイサー”“獅子舞”の撮影記録(2008年11月22日〜24日)
東京博物館研修(2009年3月4日〜6日)
・花火撮影では、映像に、GPSデータ(位置、高さ、撮影の方向等)の基礎条件をつけ、沖縄では、エイサー、獅子舞の多方向撮影記録を行った。東京ではデジタル保存等について実際の施設を見学した。

   
修士論文の作成、研究  
   
地域文化の伝承の研究への発展
 デジタル・アーカイブを活用した地域教材の開発研究〜山形の地域伝承文化の継承活動のアーカイブ〜
沖縄の獅子舞のデジタル・アーカイブ化について〜那覇市無形民俗文化財指定「那覇市首里汀良町の獅子舞」を中心に〜
 
文化情報の管理方法の研究への発展
 文化財・文化遺産のデジタル・アーカイブ化のための記録項目の検討と資料収集について
 
デジタル・アーカイブの教育利用への発展
 伝統文化のデジタル・アーカイブ化に関する研究〜沖縄“エイサー”の教育利用の可能性について〜
 デジタル・アーカイブの教育利用の研究 NICEの研究プロジェクト事例より

 

カリキュラムに即した教育方法の例 ※各タイトルをクリックで詳細を表示

@ 授業名【文化メディア演習】
   世界遺産五箇山の撮影実習 (2008年6月2日〜3日)
   〜撮影位置情報、撮影の様子情報の記録〜

 
A 授業名【デジタル・アーカイブ演習】
  長良川の川の様子を多方向から記録(2008年6月11日)
  〜何を記録するべきかを検討する〜
 
B 授業名【アーカイブ研究T】
   長良川花火の撮影、記録(2008年7月26日〜27日、8月2日〜3日)
   〜花火を周辺の状況とともに記録する〜
 
C 授業名【文化メディア演習/デジタル・アーカイブ演習】
   世界遺産“白川郷・五箇山”、白山文化、高山の歴史の記録
   〜地域の歴史・伝統文化を学ぶ〜(2008年8月22日〜25日)
 
D 授業名【伝統文化特講】
   世界遺産などの地域の伝統文化をいかに伝えるか(2008年9月6日)
   〜伝統文化の理解、文化の継承の検討〜
 
E 授業名【アーカイブ研究U】
   沖縄伝統文化“エイサー”“獅子舞”の撮影記録
   〜沖縄伝統文化の理解〜 (2008年11月22日〜24日)
 

 

授業科目テキスト(目次)

授業科目の一部を紹介します。  ※各科目名をクリックでテキスト目次を表示

【文化メディア演習】

【デジタル・アーカイブ演習】

【アーカイブ研究T】

【デジタル・アーカイブ特講T】

【デジタル・アーカイブ特講U】