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● 学芸員とデジタル・アーキビスト ~両方の能力をもつ利点~

 アーキビスト(archivist)とは,「記録や史料の管理または文書館の運営のために専門家として配置されている人」(全国歴史資料保存利用機関連絡協議会 『文書館用語集』 1997)を指し,諸外国においては,その養成,資格取得者の活躍などがすでになされています。
 さらに,情報社会といわれる現在では,資料のデジタル化と管理・流通が多くなされるようになり,それらを的確に行える人材の育成が急務とされています。

 岐阜女子大学では, 文部科学省 平成16年度“現代的教育ニーズ取組支援プログラム”「デジタル・アーキビストの養成 ―文化情報の創造、保護・管理、流通利用を支援する―」に選定され,デジタル・アーキビストの養成に取り組んでいます。

 デジタル・アーキビストとは,情報社会における時代の要請でもある文化資料のデジタル化や資料にかかわる著作権・プライバシーなどの知識を持ち,総合的な文化情報の創造、保護・管理、流通利用を担当できる専門家を指します。

 また,学芸員は,博物館および相当施設に勤務する専門職員などを指します。博物館資料の収集・保存・展示および調査研究などを主に担当します。

 学芸員とデジタル・アーキビスト,その両方の能力を身に付けることにより,資料やそこに内包される文化情報の収集から,デジタル処理,デジタル・アーカイブ化,管理・流通にいたる,文化資料や情報の適切な処理を一括してプロデュースできる人材として,活躍することが期待されています。


● 学芸員とデジタル・アーキビストの活動
 
  「どんなことができるの?」

 学芸員資格とデジタル・アーキビストの能力をもつことにより,博物館および相当施設の専門職員として,各種資料のデジタル化も含めた,収集・保存・展示・研究などを行うことができます。

 例えば・・・

  歴史博物館では
    歴史・民俗・民族・考古・文学などにかかわる資料,古文書などのデジタル化
  美術館では
    古美術・西洋美術・東洋美術・近代美術など美術全般資料,絵画などのデジタル化
  動植物園・水族館では
    自然・地質・動物・植物などの資料のデジタル化
  科学館では
    科学・産業・天文(プラネタリウム)などの資料のデジタル化

 これからの博物館には,実物資料とデジタル資料の両方の保存や展示が求められており,デジタル博物館も登場しています。それらに必要な資料のデジタル化,データベース化,デジタル・アーカイブ化などを行うことができます。

  「私たちのまわりの博物館では?」

 博物館には,歴史などの博物館のほか,美術館,資料館,郷土館,民芸館,記念館や動植物園,水族館,科学館などがあり,それぞれの分野に関係する資料を取り扱っています。
 私たちの住む地域にも,「○○市博物館」や「○○町資料館」などの市町村の博物館や企業の博物館などがあります。
 それらの博物館でも,所蔵している資料のデジタル化や内容分類,データベース化などは必要とされ,こうした知識をもつデジタル・アーキビストの活躍の場となります。